今から100年以上前の日本では、
母親となった女性が、
我が子や夫の幸せを祈って機織りをして、
着物を作っていたのです。
破れたりすり切れたりするたびに、
彼女たちは布地に感謝し、
新しい祈りを込めて繕いや刺繍を施してきました。
長い年月をかけて修繕を繰り返され、
今や役目を終えてしまったアンティーク着物は、
この世に二つとない、独特の風合いに満ちています。
そしてそこには、数え切れないほどの祈りが、
幾重にも幾重にもかさねて、込められているのです。
異なる家族の元で、ただひとつの存在に
育まれてきたアンティーク着物たち。
それらの中に共通する
「母の祈り」
という糸をたぐりながら縫い合わせ、
一針一針、かつて母親たちがしたように
祈りを込めて刺繍することで、
新たな生命をふき込めたら――。
母親たちの100年の祈りが生んだ
個性豊かな古着物どうしを、
ただひとつ共通する母親の祈りを糸に縫合し、
新たな祈りの刺繍を施した、
唯一無二のストールです。
母親たちによる100年の祈りは、
時を越え、別の祈りと合わさることで、
より普遍的な祈りとなる。
人類という、家族への祈りに。
デザイナー。
エディトリアルデザイン、イラストレーションと並行し、作家としてのキャリアをスタート。
第一子を授かり、自らも母親となったことを機に、只一ツのプロジェクトを開始。
東京デザイナー学院修了。
アートディレクター。
および、サイトのコピーライティング・デザイン・フォトグラフを手がける。